Vol.11 循環型社会を実現する梅調味廃液を使った嫌気性排水処理型バイオガス発電システム

梅干の生産量日本一を誇る和歌山県南部に位置するみなべ?田辺地域には、300を超える梅干製造会社が存在します。この地域の梅干製造会社では、梅干を加工した際に出る調味廃液を産業廃棄物として適切に処理していますが、処理コストの増大に長年悩まされていました。梅干の調味廃液のBOD(※1)は10万mg/lを超える非常に高濃度廃液で、一般的な好気性の排水処理設備(※2)では処理が難しく、調味廃液の処理には産廃業者を利用する必要があり企業収益を圧迫しています。住友重機械エンバイロメントでは、従来、廃棄されている梅調味廃液をバイオマス源として再利用し、エネルギーを創出することにより環境負荷の削減、処理コストの軽減が可能となる「嫌気性排水処理型バイオガス発電システム」によりこの問題を解決しました。

  • ※1BOD(生物化学的酸素要求量)河川の汚濁度合を表す指標。河川の環境基準BOD1~10mg程度とされる。
  • ※2酸素を必要とする好気性微生物により、水中の有機物を分解処理する方法。

嫌気性排水処理型バイオガス発電システムとは

嫌気性排水処理型バイオガス発電システムとは

生物処理には大きく分けて2つの方法があり、酸素を必要としない嫌気性微生物が有機物をメタンガスとCO2と水に分解する方法を嫌気性排水処理といいます。さらに回収したメタンガスから微量の不純物を除去した後、ディーゼルエンジンにより発電まで行うことで、廃液の処理と同時にエネルギーを生み出すことができるのがこのシステムです。

梅調味廃液の嫌気性処理への挑戦

梅調味廃液の嫌気性処理への挑戦

嫌気処理を行う場合、梅調味廃液の様な糖濃度の高いものは糸状菌発生により、安定運転は難しく、これまで梅調味廃液の嫌気性排水処理で実用化されたプラントは一つもありませんでした。住友重機械エンバイロメントでは、長期間の連続試験により、糸状菌発生を抑制する技術を開発、設備化したことで、高負荷かつ安定運転可能なシステムを構築することができました。一般的な好気性処理に比べ、動力の削減、余剰汚泥発生がないことから処理コストを大幅に削減することができました。

循環型社会の実現へ

循環型社会の実現へ

住友重機械エンバイロメントは、業界最大手の梅干製造会社である中田食品(株)様を事業主体として「梅調味液バイオガス発電所」を建設しました。スキームの構築は地元の産業廃棄物運搬業者である宮惣ケミカル(株)様と共同で行い、同社が中田食品(株)様の梅調味液に加え、他の梅干製造業者からの調味液収集と運搬、設備の運営管理を担当します。住友重機械エンバイロメントが長年培ってきた水処理技術を生かし、設備の設計、施工を行ないました。

また、嫌気処理の過程で得られるバイオガスを利用した発電を行うことでエネルギーを創出。再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)を利用して売電し、その売電益でプラントの建設費用の回収を行うだけでなく、産廃収入も合わせ事業としての採算性も確保できます。住友重機械エンバイロメントは梅調味廃液以外の食品廃棄物にも挑戦し、廃棄物処理と同時にエネルギーを生み出すシステムで、循環型社会の実現へ貢献していきます。

梅調味液バイオガス発電所

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